定量分析、定性分析とは? ソーシャルリスニングツールを活用した定量分析、定性分析
ビジネスにおいてデータの分析を行うことは、いまや当たり前になりつつあります。分析方法や分析に使用するツールもさまざまありますが、分析する手法については「定量分析」と「定性分析」に二分できます。
分析ツールは利便性が高く、データや分析に関する専門知識がなくても簡単に扱えるものが増えています。たとえば、当社が提供するBoom Research(ブームリサーチ)は、分析ボタン1つで世の中のSNS上のクチコミを簡単に表示できます。
「それなら、分析について勉強する必要なんてないのではないか?」と、考えるかもしれません。
しかし、実際にデータ処理を行う必要がなくても、分析によってどんな結果を得たいのか、どのような示唆を見つけたいのか、その「目的」を達成するには、「定量的な分析」「定性的な分析」それぞれの特性を知り、適切なアプローチで分析を行うことが大切です。
本コラムでは、定量分析、定性分析の概要やメリット・デメリットとともに、ソーシャルリスニングツールを活用してこれらの分析を行う具体的な方法をご紹介します。
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【目次】
- 定量分析、定性分析とは
-
定量分析、定性分析のメリット、デメリット
-
ソーシャルリスニングツールを活用した定量分析
-
ソーシャルリスニングツールを活用した定性分析
- まとめ
定量分析、定性分析とは
定量分析、定性分析はともに、もともと分析化学の分野で使われてきた分析手法で、試料中の特定成分の量や比率の決定を見るのが定量分析、試料中の成分判定を見るのが定性分析です。
ここから転じて、ビジネス分野における分析手法としては、定量分析は「分析結果を数字で量的に把握する」方法、定性分析は「分析結果を言葉で質的に把握する」方法として用いられています。
定量分析とは
定量分析とは、数値によって分析結果を把握する方法で「分析結果を数字で量的に把握する」ということです。
定性分析とは
定性分析とは、数値では表せないような質的なデータで分析結果を把握する方法です。簡単にいうと、「分析結果を言葉で質的に把握する」ということです。定性分析では、定量的な分析では把握が難しい、生活者の行動や思惑・意欲を把握することができます。
定量分析・定性分析の違い
上でお伝えしたように、定量分析と定性分析は、それぞれに役割があり、補完関係にあります。分析の目的に応じた適切な使い分けや組み合わせを理解することで、確かな分析を行うことができます。
ちなみに、ソーシャルリスニングでプロモーションの効果測定を行う場合は、「定量分析」で全体の話題量や昨年比でクチコミの総量を把握した後で、その結果の要因・背景を「定性分析」で深掘りするという流れで行います。
また、新しい企画のアイデアやヒントを得たい場合は、「定性分析」で目新しい発言や利用シーンを発見した後で、その利用用途のクチコミが実際にどれだけあるのか検証する「定量分析」という流れで行うこともあります。
それぞれの違いや特長を理解した上で分析を行うと、よりスムーズに分析ができます。ソーシャルリスニングでは定量・定性どちらの視点でも分析することができます。
定量分析、定性分析のメリット、デメリット
分析を行う際に、定量分析、定性分析のどちらを使えば良いのか、さらにスムーズに選択できるように、それぞれの分析方法のメリット、デメリットを把握しておきましょう。
定量分析のメリット、デメリット
まずは、定量分析のメリット、デメリットからご紹介します。
定量分析のメリット
定量分析のメリットは以下の2点です。
- 数値で結果が明らかになるため主観が入りづらい
- 共有するメンバー間で結果に対する認識のずれが発生しづらい
定量分析では、分析結果を数値データで把握することができるため、誰から見ても同じ結果となり、分析者や結果を共有されたメンバーの主観が入りづらい点がメリットです。
定量分析のデメリット
定量分析のデメリットは以下の2点です。
- 正確な分析のためには多くのデータが必要
- 表層的な分析に終始してしまう恐れがある
定量分析では、数値データを元に分析を行うため、母数となるデータ量が多いのほど誤差が与える影響が小さくなり、より正確な分析が行えます。そのため、大量のデータを集める必要があるのです。
また、数値化されたデータ以外、分析することができない定量分析では、その結果の背景までは把握できないため、深い考察をすることができず、得られた示唆が表層的になってしまう恐れがあります。
定性分析のメリット、デメリット
一方、定性分析のメリット、デメリットは以下の通りです。
定性分析のメリット
定性分析のメリットは以下の3点です。
- 母数となるデータの量が少なくても分析が可能
- 数値で表現できない心情などを分析できる
- 分析結果から改善点を導ける
定性分析では、意見や感想などが記述されたクチコミを元に、クチコミされた背景や心情を深堀りします。そのため、クチコミの数が少なくても分析は可能です。また、数値には表せないような本音などを分析でき、分析結果そのものに改善のためのヒントが含まれているため、製品やサービスの改善点を導きやすい点もメリットです。
定性分析のデメリット
定性分析のデメリットは以下です。
- 分析結果の解釈に主観が入りやすい
定量分析のように誰が見ても客観的に捉えられる「数値」ではなく、人によってさまざまな解釈ができる「言葉」が分析結果として現れる定性分析では、結果に対する受け取り方が人によって異なることがデメリットです。
ソーシャルリスニングツールを活用した定量分析
ここからは、ソーシャルリスニングツールを活用して実際に定量分析、定性分析を行った事例を見てみましょう。まずは、定量分析からです。
定量分析において見るべき項目
定量分析を行う前に、定量分析において見るべき項目を押さえておきましょう。定量分析では、以下の点などに着目します。
- クチコミの全体量、メディア毎に発生したクチコミ数の量と割合
- 言及している人のデモグラフィックデータ(性別、地域、年代、職業別の割合)
- ポジティブ、ネガティブそれぞれの割合
定量分析の事例とポイント
定量分析では、「量」を把握した上で、最終的にその数が多いのか少ないのかを判断する必要があります。そのため、定量分析では比較軸を意識しましょう。
以下に、定量分析の事例を2つご紹介します。
キャンペーンの効果測定の場合
キャンペーンの効果測定では、過去施策と比較することで相対的に評価できます。
今回の事例は、製菓メーカーさんのTwitterキャンペーンですが、第一弾のキャンペーンと第二弾のキャンペーンのクチコミ量を比較すると、第一弾の方がクチコミ件数が多いことがわかります。この要因を調べる深堀りは「定性分析」で行います。
Twitterキャンペーンのクチコミ量の比較
施策の前後でクチコミを分析する場合
たとえば、新商品の情報公開後、予約開始後、発売開始後、というかたちで期間を比較して話題量を分析することがあります。
今回の事例は、映画配給会社さんで「テレビCM出稿期間で公開直前の映画に対して鑑賞意欲を示すツイートを発生させることができたか?」という視点で分析を行いました。
鑑賞意欲を示すクチコミ数の推移
その結果、公開日をピークにしっかりと鑑賞意欲を示すツイートを発生させることができていることがわかります。
このように、「観たい、観に行きたい」という購買意識を示す好意的なクチコミが発生していたか、またどれぐらいの件数発生させることができたかをソーシャルリスニングで可視化することができます。
ソーシャルリスニングツールを活用した定性分析
次に、定性分析のポイントと事例を見ていきましょう。
定性分析において見るべき項目
定性分析では、主に次のような点に着目します。
- クチコミの内容
- 関連語
- 拡散された記事(共感や興味関心を集めた内容の把握)
- ツイート本文からポジティブ内容の文脈
定性分析の事例とポイント
定性的分析で重要なのは、「潜在的な意識や動機を探索・抽出し、意識構造を明確化する」ことです。例えば、商品を購入報告をしているクチコミであれば、どういう理由でその商品を選んだのか、という背景をクチコミから分析していく必要があります。では、具体的な事例を見ていきましょう。
プロモーションの効果測定を行う場合
プロモーションの効果測定では、「施策によって生活者に影響を与えていたのか?」または「商品・サービス、ブランドに対して新しい印象を持ってもらえたのか?」を把握できます。具体的には、たとえば下記のようなことを把握できます。
【プロモーションの効果測定を行う場合】
- 話題化した要因の特定
- ポジティブ、ネガティブの評判やその言及された言葉について
- どのような印象を与えることができたか
今回の事例は、バランス栄養食品の新CMに対する調査ですが、ブームリサーチでは、ブランドや商品・サービスと一緒に語られることが多いキーワードとして、「関連語」がでてきます。
Twitter上でCMと一緒にクチコミされていた関連語ランキングの変化
同社のCMでは、毎年、受験シーズンに合わせて「受験生を応援する」CMを出稿しているのですが、新CM公開前後の関連語を見てみると、公開後の関連語には「感動」「受験生」というキーワードが浮上しており、コンセプトメッセージが伝わっていたことがわかりました。
また「良い」「好き」など、ポジティブな印象を与えていたこともわかり、ポジティブな印象を与えられていたことを可視化できました。
このように、施策前後で分析を行うことで、「生活者に伝えたいことが伝わっていたのか?」「意識変容があったのか?」を可視化して把握することができます。
新しい企画のアイデアや施策のヒントを得たい場合
ツイートに含まれていたURLを調べることで、どのWebメディアの記事・コンテンツがTwitter上での話題化に影響を与えていたのかを把握できます。具体的には、たとえば下記のような要因を把握できます。
【新しい企画のアイデアや施策のヒントを得たい場合】
- 生活者の反応が多い記事/投稿の特定
- 情報拡散に寄与したインフルエンサーや特定のメディアの存在の有無
- 相性のよいメディアが発見できた時のコアターゲット層との関係
今回の事例は、「映画A」に対して、どのWebメディアが情報拡散に最も影響を与えていたのかを分析しました。
影響を与えたWebメディアランキング
その結果、「映画A」は、映画情報サイトよりアパレル系情報サイトの記事の方がTwitter上で拡散されていたことがわかりました。
このように、どのメディアが要因となって話題が生まれたのかを知ることで、次回の施策のヒントになります。
また、コンテンツの拡散は、多くの人に商品・サービス、ブランドを知ってもらう機会につながります。事前に拡散されやすいメディアを把握することで、広告の打つ際のヒントも得られます。
まとめ
定量分析、定性分析、それぞれの特徴やメリット・デメリット、具体的な事例などをご紹介しました。
目的に応じて、定量分析と定性分析を適切に使い分けることが、ソーシャルリスニングをうまく活用するための肝になります。
また、分析の前に、定量分析、定性分析でどんな情報を得たいのかなど目的を整理することで分析の質も上がります。ソーシャルリスニングを行う際は、ぜひ参考にしてみてください!
Boom Research 概要資料
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